神経・アレルギー・膠原病内科 Vol.1

今月のテーマ「神経疾患の最新医療」

 

 

<脳卒中急性期の血栓溶解療法(rt⁻PA、アルテプラーゼ静注療法)>

 

 

脳卒中の治療法は大きく進歩していますが、現実の医療現場は困難を増しています。

 

 

担当医にとって、極度にストレスフルな限界状況下で、

 

様々な情報を漏れなく確実なチェックを強いられる疾患の代表だと思われます。

 

 

そもそも、意識障害で救急搬入されてくるような場合、

 

どのようにして発症時期を確定できるのでしょうか?

 

 

コミュニケーションすらおぼつかない患者さんから、

 

どのようにして既往歴を聴き出すのでしょうか?

 

まさに「予防に勝る治療なし」です。

 

 

脳卒中の原因が血栓症による脳梗塞である場合には、血栓溶解療法が試みられます。

 

血栓溶解薬には、抗トロンビン薬や

 

遺伝子組み換え組織型組織プラスミノゲンアクティベータ(rt-PA)があります。

 

 

血栓溶解療法は、心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、

 

ラクナ梗塞などすべての臨床病型に適応できます。

 

アルテプラーゼ静注による血栓溶解療法は、脳卒中患者の神経予後を有効に改善させます。

 

 

ただし、頭蓋内出血などの重篤な副作用が生じうるので、

 

多くの禁忌基準があり、慎重に判断しなければなりません。

 

 

1)発症から治療開始までの時間:

 

血栓溶解療法の適応は、発症から治療開始までの時間が4.5時間を超える場合

 

 

2)既往歴:

 

非外傷性頭蓋内出血になったことがある人など

 

 

3)合併する臨床所見:重篤な肝障害、急性膵炎

 

くも膜下出血、急性大動脈解離、出血、降圧療法後の血圧185/110mmHg以上、

 

 

4)血液所見:凝固療法中でPT₋INR>1.7、aPTT延長(前値の1.5倍)

 

異常血糖値(<50mg/dL,または>400 mg/dL)、血小板減少≦100,000/mm³、

 

 

5)画像診断(CT/MRI検査)所見 

 

広範な早期虚血性変化(CT)、圧排所見(正中構造偏位)