循環器・腎臓・血液内科 Vol.4

今月のテーマ「血液透析」

    

 

「ヨード造影剤による腎障害(造影剤腎症)」

     

ヨード造影剤は臨床的画像検査で頻用されますが、腎臓に負担をかけます。

 

 

造影剤腎症発症の予防のために、輸液が行われます。

 

 

そこで、飲水も勧めることがありますが、

 

飲水が輸液と同等の効果があるかどうかのデータはありません。

 

 

血液透析は造影剤腎症発症リスクを軽減しないため、

 

造影剤投与後の血液透析は推奨されません。

 

 

ヨード造影剤を用いた臨床的画像検査が必要な糖尿病患者は増加しています。

 

 

慢性腎臓病(糸球体濾過率<60mL/分/1.73 )を伴う糖尿病は造影剤腎症発症の危険因子となりますが、

 

慢性腎症を伴わない糖尿病は明らかな危険因子ではないようです。

 

 

また糖尿病患者の治療薬であるビグアナイド薬は、直接的には造影剤腎症発症には関係しませんが、

 

たまたま造影剤腎症発症した場合には、ビグアナイド薬は乳酸アシドーシス発症リスクが増加するため、

 

検査前の投薬は中止します。

 

 

因みに、腎動脈狭窄症では、ヨード造影剤を用いるCT血管造影は造影剤腎症を惹起して、

 

さらに腎機能を低下させる可能性があります。

 

 

また、ガドリニウム造影剤は腎性全身性線維症を惹起する可能性があるため、

 

腎動脈超音波ドプラ検査、単純MRA検査が推奨されています。