呼吸器・感染症内科 Vol.2

今月のテーマ<感染症の特定内科診療>

 

 

「敗血症」

 

 

昨日の<医学クイズ>の正解は、A,B,C,D,Eのすべてです。

 

ただし、Cのみは注意が必要です。

 

Cは「外傷で入院していた小児が、その翌日、麻疹(はしか)を発症した。」

 

でした。これは、少し難しかったかもしれません。

 

感染性の病気に罹ってから症状が出現するまでの期間を潜伏期(せんぷくき)といいますが、

 

麻疹(はしか)の潜伏期が約10日であることを知っていないと判断がむずかしいでしょう。

 

また入院期間を示していないので、正確な判断はできません。

 

仮にこの小児が入院して数日であるとすれば、

 

この小児は「院外」ですでに感染し、それが入院後発症したと考えるべきでしょう。

 

その場合は「市中感染」です。

 

ただし、麻疹そのものは感染力が強いため院内感染の大きな原因の一つになり得ます。

 

 

 

さて、本日のテーマ「敗血症(はいけつしょう)」について説明いたしましょう。

 

 

「敗血症」とは、血液中に細菌が侵入することが原因となります。

 

 

その場合は、血液中より細菌を検出できても、

 

顕著な臨床症状を呈しない場合には「菌血症(きんけつしょう)」と診断されます。

 

 

しかし、それにとどまらず、

 

発熱、ショック、意識障害などの激しい臨床症状を呈することがあります。

 

このような状態を全身性炎症反応症候群といいます。

 

 

このように、菌血症に全身性炎症反応症候群が伴ったものが「敗血症」です。

 

 

これは感染症防御機能が低下している場合に起こりやすいです。

 

 

敗血症は重度になると血圧低下または重要臓器の循環不全に陥り、

 

重症敗血症という状態に進むことがあります。

 

 

こうなると、やがて点滴などの輸液をしても血圧低下を食い止めることができなくなり、

 

これを敗血症性ショックといいます。

 

 

ドクトル飯嶋の亡父は、最終的に敗血症性ショックになりました。

 

 

ドクトル飯嶋は入院先の担当医と協議しながら治療対応し、

 

父の最期を看取ることになりました。

 

 

可能な限り入院生活を送らなくて済むよう、

 

健康管理や通院加療のみで、

 

生き甲斐に満ちた長寿を楽しめるよう、

 

日々の養生と鍛錬に勤しんでいきたいものです。