消化器・代謝内分泌内科Vol.4

 今月のテーマ<内分泌の特定内科診療>

 

 

高浸透圧高血糖症候群を合併した 「糖尿病性ケトアシドーシス」 Vol.2

 

 

現症:バイタルサイン 意識水準JCSⅡ-20、脈拍92/分、血圧118/72mmHg,

 

呼吸数28/分、体温37.1℃

 

 

栄養状態:身長180㎝、体重62㎏⇒BMI19.1(概ね正常範囲)

 

 

診察所見:眼球結膜(黄疸なし)、眼瞼結膜(貧血なし)、舌は乾燥、

 

心音・呼吸音に異常を認めず、腹部平坦・軟で、肝・脾を触れず。

 

 

尿検査:蛋白(-)、糖(4+)、ケトン体(4+)

 

 

ドクトル飯嶋の見立て:現病歴から、シックデイにおけるⅠ型糖尿病のインスリン注射中断による

 

糖尿病性ケトアシドーシス

 

 

シックデイとは、糖尿病患者が、心身のストレス、

 

消化器疾患や外傷、感染症などにより体調不良となり、

 

食欲不振となることで食事ができない状態を指します。

 

 

その他、舌の乾燥は脱水、発熱は感染症,検尿での高度尿糖は高血糖状態、

 

ケトン体高度出現はケトアシドーシスを裏付けます。

 

 

意識障害は、脱水症と異常高血糖、糖尿病性ケトアシドーシスによる糖尿病性昏睡と考えます。

 

 

ドクター飯嶋の対処法:安全な環境下で血糖値のコントロールを図る必要があるため、

 

某病院の内分泌代謝科(糖尿病科)を紹介しました。

 

 

入院先の病院での経過:入院直後に簡易測定器で測定した血糖値は

 

測定可能範囲を超える異常高値であったため、

 

ただちに生理食塩水の点滴と静脈内インスリン持続注入を行うことによって、

 

患者の意識レベルは改善しました。

 

 

しかし、翌朝から再び意識障害が進行してしまいました。

 

 

頭部CT検査で脳浮腫を認めました。

 

不整脈を伴っていたため心電図で確認すると低カリウム血症の所見があり、

 

補正を試みたが、呼吸困難に陥り、不幸な結果になってしまったとのことです。