今回は自律神経と呼吸の関係について見ていきましょう。

 

 

自律神経の働きの表を見ながら読んでください。

 

自律神経表

 

 

 以前、自律神経のはたらきで「自律神経の要素は無意識にコントロールされているが、

 

意識的にコントロールできる要素もある」と書きました。

 

 

 

それは何でしょうか?

 

 

 

答えは「呼吸数」と「呼吸の深さ」になります。

 

 

 

緊張すると教えられたわけでもないのに、深呼吸しますよね。

 

 

それは深く大きく呼吸することにより、

 

自動的に呼吸数が減り、副交感神経が働きやすくなるのです。

 

 

これを意識的に訓練して、十分に利用することができるようになれば、

 

 

深呼吸によるリラクゼーションを導くことができるようになります

 

 

交感神経を過剰に働かせている現在、ヨガ、瞑想等の言葉が世間を賑わせています。

 

そのどれもが、深く大きく呼吸をすることを重要視しています。

 

 

皆、本能的に「副交感神経を働かせないとまずいな」と感じているのかもしれません。

 

 

 

ちなみに<水氣道>は水圧によって、無意識に呼吸が深くなり

 

過剰な交感神経の働きを、自然に抑えることができるのでおすすめします。

 

 

 

次回、私は幸か不幸か疲労度分類の「反復性過労」から

 

「疲労困憊」まで体験しましたので、

 

そのことを書きたいと思います。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

今月のテーマ<痛風・高尿酸血症>

 

 

「高尿酸血症・痛風の生活指導と合併症がある場合の治療」

 

 

1)高尿酸血症・痛風は代表的な生活習慣病です。

 

飲酒制限などの生活習慣是正はお薬の効果を高めます。

 

 

2)そこで生活習慣の是正を目的とした生活指導が基本となります。

 

 

3)高尿酸血症・痛風に対する生活指導は、食事療法、飲酒制限、

 

肥満者の場合は、肥満を解消することによって血清尿酸値を低下させる効果が期待されます。

 

 

4)運動の推奨が中心となります。

 

 

5)食事療法としては適正なエネルギー摂取、

 

プリン体・果糖の過剰摂取制限、十分な飲水を励行します。

 

 

6)身体活動(運動)は、メタボリック・シンドロームの種々の病態の改善に有効です。

 

メタボリック・シンドロームの改善は血清尿酸値を低下させる効果が期待されます。

 

 

7)高血圧・心疾患系の病気を合併する場合:

 

「総合的な臓器のリスク回避」を目指し、

 

同時に高尿酸血症の発症に関連する生活習慣を改善するための指導を受けましょう

 

 

8)脂質異常症を合併する場合:

 

動脈硬化性疾患の1因子となる脂質異常症を治療し、

 

動脈硬化性疾患の軽減を図ることを目標としつつ血清尿酸値のコントロールをします。

 

 

9)メタボリック・シンドロームを合併する場合:

 

食事療法や運動療法、また禁煙などの生活習慣をまず改善して

 

7%程度の体重の減量をはかることが基本です。

 

メタボリック・シンドロームの治療の最終目標は、

 

本症候群の帰結点である動脈硬化性疾患や2型糖尿病の

 

発症予防と進展を食い止めることにあります。

 

 

10)なお日本肥満学会は、

 

まず現在の体重ないしウエスト周囲径の5%程度の減少を目標とするよう勧告しています。

今日は前回の続き、Aさんの『自動思考(頭の中にパッと浮かぶ考え)』から、

 

よくあるパターン④~⑤をお話しします。

 

 

例)Aさんは職場の会議のプレゼンの時に、

 

「資料の数値に間違いがある」と指摘されました。

 

 

Aさんが即座に思ったこと=『自動思考』は…

 

 

これでプレゼンは台無しだ。上司の評価も下がり、もう昇進の可能性はなくなった。

 

自分は肝心な時にいつもミスばかりしている。みんなにダメな人間と思われている。

 

 

④ みんなのように完璧な資料を作らなければならないのに。

 

 

⑤ 業績が伸びないのも、全て自分のせいだ。もう会社の人に顔向けできない…

 

 

④「すべき思考」:

「~すべき」「~すべきでない」「~しなければならない」

 

「~してはいけない」と考える傾向のことです。

 

この基準を自分に当てはめると自分を追い詰め、

 

実行できないと罪の意識を持ちやすいです。

 

また相手にもその基準を求めるため、怒りや葛藤を感じやすくなります。

 

また、これには④の「完璧な~」は「ストレスへの対処法7」で

 

すでにお話しした「全か無か思考」も関与していることにお気づきでしょうか。

 

 

 

⑤「自分への関連づけ(個人化)」:

 

何か良くないことが起こった時、

 

自分に責任がないような場合でも自分のせいにしてしまう傾向のことです。

 

Aさんはこの考えにとらわれて、

 

「ではこれからどうするか」「自分ができることは何か」

 

といった生産的な考えが思い浮かびません。

 

 

 

今回までに、自動思考に基づく基本的な考え方のクセを

 

5つの要素に分類してご紹介してきました。

 

 

これまでに挙げてきた、これらのパターンが、

 

いくつも合わせ技で係わってくると、問題はより複雑化しがちになります。

 

そのような状況では、自分一人で振り返って整理することは、より難しくなるでしょう。

 

 

より一層、自分を追い詰めたり相手を責めたりして、

 

落ち込みや不安、怒りを感じやすくなるかもしれません。

 

 

今一度、ご自身の考えのクセをチェックし、

 

機会があればご相談くださいますように。

 

今月のテーマ<痛風・高尿酸血症>

 

 

「高尿酸血症・痛風の治療」

 

 

1)水分の摂取量を確保し、1日尿量2リットル以上を目安にします。

 

 

2)薬を内服しているときは、しっかりと、水分を摂取しましょう。

 

 

3)高尿酸血症の治療では、

 

肥満、高血圧、糖・脂質代謝異常などを合併することが多いので、

 

生活習慣全般を改善することが最も大切です。

 

運動は水氣道のような有酸素運動を推奨し、

 

過激な無酸素運動は血清尿酸値を上昇させるので控えるようにします。

 

 

4)特に、血清尿酸値を下げるためには、

 

アルコール飲料やプリン体、果糖(フルクトース)、ショ糖(シュークロース)や

 

カロリーの過剰摂取を避けることがポイントです。

 

 

5)尿路結石、腎疾患、高血圧などの合併がある場合は、

 

血清尿酸値が8.0mg/dⅬ以上で薬物療法を考慮します。

 

 

6)痛風発作の発現・再現、高尿酸血症の合併症を防ぐためには、

 

血清尿酸値を6.0mg/dl以下にコントロールすることが重要です。

 

 

7)なお、治療により自覚症状がなくなっても継続療養することが必要です。

 

 

8)無症候性高尿酸血症といって、症状をともなわない高尿酸血症の段階で、

 

無症候性高尿酸血症であっても、生活習慣の改善にもかかわらず

 

血清尿酸値が9.0 mg/dⅬ以上であればお薬による治療の可否を検討します。

 

 

9)高尿酸血症が原因で発症する

 

痛風関節炎、痛風結節、腎障害、尿路結石を予防するために

 

血清尿酸値を低下させることが望ましいです。

ドクトル飯嶋の「認定痛風医試験」受験顛末記 (その3)

 

 

<前号から、すでに一週間たっているので要約します。>

 

受験票発送消印(6月13日)、受験票到着(6月14日)、

 

「認定痛風医試験」(6月18日) したがって、受験勉強は正味3日のみ。

 

受験会場の在室者は4名:試験官2名(医学部教授)

 

事務局員1名、受験生1名(高円寺南診療所 飯嶋正広)

 

受験者はドクトル飯嶋ただ一人・・・

 

 

 

試験結果通知が届くまでの正味5日間は、

 

試験準備の3日よりも入念に試験問題を検討しました。

 

受験した試験問題をもとに最新の論文を読めば読むほど、

 

医学の進歩のすさまじさを実感した次第です。

 

第一線の多くの臨床医が参考にする最新のガイドライン

 

「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」(第2版)2010年改訂

 

の記述すらすでに古いものになっているくらいだったからです。

 

 

これでは不合格の公算が高い、良くても合否スレスレ、と見込んでいました。

 

ただし、試験問題を詳細に検討する過程で、不適切問題を発見しました。

 

そのあと、試験結果通知消印(6月22日)の合格通知到着(6月23日)

 

結果的には「合格」でしたが、正解数は60問中39(65%)に過ぎませんでした。

 

 

ここではじめて判明したのは、

 

「認定痛風医試験」の合格ラインは65%以下であるということです。

 

専門医試験の合否ボーダーが60%というのは普通なので、

 

ギリギリのセーフ。

 

正解が2/3にも満たなかったのですから決して名誉なことではありません。

 

まさに冷や汗もの。

 

胸を張って「合格しました」なんて言えません。

 

 

しかし、毎週、懺悔録を綴っているMr.NoGucciを見習って、

 

私も正直にご報告することにいたしました。

今月のテーマ<痛風・高尿酸血症>

 

 

「高尿酸血症・痛風の診断」

 

 

Q1.そもそも尿酸とは?

 

A1.尿酸はプリン塩基(アデニン、グアニン)をはじめとするプリン分解の最終産物です。

 

 

Q2.高尿酸血症の原因は?

 

A2.尿酸の産生過剰、尿酸排泄の低下またはその両方の合併により生じます。

 

尿酸の産生過剰の原因は、食事からのプリンの過剰摂取や、

 

内因性のプリン産生増加、プリンヌクレオチドの分解亢進などにより起こります。

 

 

 

高尿酸血症・痛風の診断の実際:

 

1)高尿酸血症は血清尿酸値が7.0mg/dl以上をいいます。

 

 

2)高尿酸血症が急性痛風関節炎、痛風結節、腎障害、尿路結石

 

の原因になることは以前から知られていました。

 

 

3)近年、高尿酸血症が動脈硬化性疾患の危険因子でもあることが明らかになりつつあります。

 

 

4)高尿酸血症は、原因によって

 

「尿酸産生過剰型」、「尿酸排泄低下型」、「混合型」に大別され、

 

そのタイプ別に適した治療を行います。

 

 

5)痛風の診断では、単純エックス線(レントゲン)検査は、

 

他の類似の疾患との鑑別に有用です。

 

高円寺南診療所では、痛風の診断に積極的に超音波検査を活用し、

 

パワードップラー法による異常血流を検知し、

 

関節炎の拡がりと炎症の程度などを併せて評価し診断に役立てています

 

 

6)超音波検査は苦痛を伴わず、被爆の恐れもないので、

 

必要な時間をかけて、患者さんとコミュニケーションを図りながら、

 

丁寧に観察できるので実際上のメリットが大きいです。

 

骨病変の評価においてがレントゲン検査より優れ、

 

また軟骨表面の尿酸塩結晶の検証に有用であることが示されています。

水氣道の「水」は生命を育む母胎であり、

 

生命現象に不可欠な根本的な要素です。

 

 

しかし、体内の「水」は常に活性化されていないと「病的な水」、すなわち毒になり、

 

日本漢方の言葉では「水毒(すいどく)」といい中医学では痰飲(たんいん)といいます。

 

 

(広義の)痰飲には、(狭義の)痰飲懸飲(けんいん)溢飲(いついん)支飲(しいん)

 

の4種類があり、四飲(しいん)と呼びます。

 

 

今回は、この四飲のうち、(狭義の)痰飲について解説します。

 

 

<(狭義の)痰飲>は、腸管内の水が過剰にあって、

 

その水がゴロゴロ音をたてて動く状態です。

 

それは消化管の冷えを伴うエネルギー不足(脾陽虚)があって

 

水穀(飲食物)が正常に消化吸収できないことが原因で生じます。

 

 

水は血とは異なり、血管という高速道路を巡っていませんから、

 

そもそも流れが滞りがちです。

 

流れが滞った水は寒気の影響を受け「冷え」を生じやすくなります。

 

 

対処法は、①冷やさず体の芯から温めること、②消化管の働きを活発にすることです。

 

 

水氣道では、親水3航法⇒準備体操「イキイキ体操」⇒標準5航法、

 

それから、最後の整理体操「のびのび体操」など

 

全体共通メニューだけでも十分に効果が得られます。

 

 

呼吸が浅い方は「理氣航法」、筋肉が未発達な方は「調血航法」、

 

身体が硬く柔軟性に乏しい方は「活水航法」の班に配属して貰いましょう。

医学の進歩は日進月歩。

 

 

だから、それを受けて臨床栄養学(食事療法)もチョクチョク変わるのです。

 

 

2007年初版から10年足らずで4回目の改訂作業。

 

 

本は売れないと、改訂できません。

 

改訂できないと、内容が古くなって価値が下がります。

 

 

価値が下がると、売れません。

 

⇒悪循環のパターンに陥らぬための努力は半端ではありません。

 

 

 

今回、ドクトル飯嶋が依頼され、

 

相談を受けた担当部分のメールをご紹介いたします。

 

 

 

9章 腎・尿路疾患(腎臓病の食事交換表が新しくなったため、それに対応)

 

 

13章 がん 13章の3節(13‐3 ターミナルケア 追加)

 

 

18章 摂食障害 (タイトルは 摂食障害 となっていますがその中に身体障害・

 

知的障害も入っているのでガイドラインにあるように 

 

神経・精神系疾患 としてはいかがでしょうか?

 

 

21章 免疫アレルギー疾患(新規章)臨床栄養に関することを書いていただければと存じます。

 

 

9月ごろまでに頂ければと存じます。

 

お忙しいこととは存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

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本日は、腎臓病の食事交換表(第8版)についての話題です。

 

 

第8回目の改訂の背景には、慢性腎臓病(CKD)と呼ばれる概念が台頭したからです。

 

CKDとは,慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症,腎硬化症,多発性嚢胞腎など,

 

すべての慢性の腎臓疾患を包含させて表現した呼び名です。

 

CKDに対して,現代の医学ではいまだ根治的治療法がないことが多いです。

 

CKDが進行して腎機能低下が顕著になるほど,

 

食事療法の占める役割と効果が大きくなります。

 

この意味から,腎臓病治療での食事療法の価値は変わりません。  

 

日本腎臓学会から,CKDの概念に合わせて

 

「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版」が発表されました。

 

また近年,腎臓病のための治療用特殊食品が新しく多数開発されたことにともない,

 

今回の改訂でもこれら特殊食品を見直されています。

 

透析食では,血管石灰化の防止の観点より,

 

リン摂取制限がますます重要視されています。

 

リン摂取量はたんぱく質摂取量と相関するため、

 

たんぱく質の摂取過剰は避けるべきであることから、

 

今回の改訂では,健常人に対する

 

たんぱく質摂取推奨量を超えるようなたんぱく質70gの項目が削除されました。

 

 今回の改訂は,この食品交換表は,

 

栄養学的にほぼ等しい栄養価(たとえば,たんぱく質3gを含む食品を1単位とする)

 

の食品を相互に交換することによって,食事の変化と楽しみを与え,

 

それによって同等な治療効果を期待することを目的としたものです。これは食品成分表と大きく異なるところです。

 

利用にあたっては誤解や誤った方法で使用されないように指導する必要があります。

 

 

「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014」(日本腎臓学会編),

 

「日本人の食事摂取基準2015」(厚生労働省)に準拠して内容を一部訂生。

今月のテーマ<痛風・高尿酸血症>

 

 

「高尿酸血症・痛風の最近のトレンド」

 

1)高尿酸血症は、本邦の30歳以降の成人男性では推定30%で、

 

30~60歳台のすべての年齢層の男性で現在も増加傾向にあります。

 

 

その背景として摂取カロリーが減少しているにもかかわらず、

 

肥満者の割合が増加していることが挙げられます。

 

 

その理由は、1日当たりの歩数の減少をはじめとする

 

運動不足による体脂肪率の増加が考えられています。

 

 

肥満および運動不足による体脂肪率の増加をはじめとする

 

メタボリック・シンドロームも、

 

血清尿酸値の上昇に結び付く可能性を示しています。

 

 

 

2)血清尿酸値は慢性腎臓病の発症や進展に関係します。

 

なお一般集団において高尿酸血症は腎不全の危険因子です。

 

痛風は、本邦の30歳以降の成人男性では推定1%超です。

 

 

 

3)肉類・砂糖入りソフトドリンク・果糖の摂取量が多い集団、

 

BMI(体格係数)の高い集団は痛風になりやすいです。

 

これに対してコーヒー摂取量が多い、ランニング距離が長い、

 

適切な運動を日常的に行う集団は痛風になりにくいです。

 

 

 

4)痛風・高尿酸血症の合併症には尿路結石があります。

 

尿酸結石が主ですが、その危険因子は、尿量低下、

 

高尿酸尿症(尿中に排泄される尿酸の濃度が高い状態)、

 

酸性尿の3つが重要です。

 

したがって、1日2リットル以上の尿量の確保、

 

尿中の尿酸排泄を高めない治療方法の選択、

 

尿のアルカリ化が尿酸結石の予防に有効です。

 

 

 

5)血清尿酸値は単独で将来に高血圧を発症にかかわりがあります。

 

また、脳卒中の初発ならびに再発リスク、

 

心不全による予後ならびに再入院の予測子になる可能性が指摘されています。

高円寺南診療所は、日常診療において、様々な「痛み」に取り組んできました。

 

 

先月「痛風」認定医試験を受験して一段落しましたが、

 

今月は「頭痛」専門医の研修プログラムに取り組んでいます。

 

 

外来診療において、「頭痛」は最も多い症状です。

 

そのほとんどが、筋緊張性頭痛や片頭痛などの一次性頭痛と呼ばれるものですが、

 

他の慢性疼痛と同様に、長期化した頭痛(慢性頭痛)は大きな問題になっています。

 

 

ところで、巷には神経内科や脳神経外科の看板は珍しくないのに、

 

なぜ今頃になって「頭痛」専門医を養成しなくてはならないのでしょうか。

 

 

その理由をいくつか挙げることができます。

 

第一に、「頭痛」はもっともありふれた症状なので、患者数が多いため。

 

 

第二に、「頭痛」があっても、どこで診てもらったら良いかわからないために

 

受診しない方が少なくないため。

 

 

第三に、たとえば脳神経外科等を受診しても頭部のCTに異常がなく、

 

納得のいく説明や治療を受けることができなかった経験があるため。

 

 

第四に、鎮痛剤などの市販薬による薬物乱用頭痛に陥っている例が少なくないため。

 

 

第五に、頭部CT(コンピューター断層撮影法)装置がなければ

 

「頭痛」外来はできないと考える

 

医師(かつてのドクトル飯嶋も!)や患者が圧倒的に多いため。

 

 

特に最後(第五)は大問題だとおもわれます。

 

なぜならば、頭痛は主観的な症状であり、

 

圧倒的多数の頭痛の症例は画像検査では原因が発見できないからです。

 

 

しかも、国際頭痛学会の考え方によれば画像診断が必要な場合は

 

CTではなくMRI(核磁気共鳴画像法)や

 

MRA(磁気共鳴血管造影)の優先が推奨されています。

 

 

ですから、CTの設備の有無ということは、

 

頭痛診療において決定的な前提条件でないことがわかります。

 

 

またMRIやMRA検査を実施できる医療機関は限られています。

 

 

 

そこで、さっそく昨日の日曜日(7月10日)、

 

盛岡で開催の日本頭痛学会主催のマスター・スクールに出席してきました。

 

広いホールは所狭しと、受講者のドクターがぎっしりと机を並べておりました。

 

 

 

プログラム委員長の寺山靖夫先生(岩手医大神経内科・老年科)のご挨拶文が、

 

この研修会の趣旨を端的に説明しています。

 

 

主観的な訴えである「頭痛」を科学的に具現化し標準化することにより、

 

・・・略・・・

 

それをきっかけとして「頭痛」に対する社会の認識が深まり、

 

頭痛に係わる医師、医療関係者、研究者が増えてきました。

 

本会の目的は、ともに頭痛を科学し、

 

国際レベルの診療と研究が行える専門医を育成することにあります。」

 

 

この研修プログラムが良くできているのは、単に講習会に出席するだけでなく、

 

研修後の7月下旬にテスト問題が出題されそれを受験するようになっていることです。

 

そして、それに合格しないと『頭痛専門医』受験資格が得られません。

 

 

頭痛専門医の資格の有無よりも、

 

頭痛外来を高水準で診療するための目安が得られるということは、

 

日常診療において大きな意味があると思います。