プライマリケア・救急・心療内科Vol.4

今月のテーマ<中毒の特定内科診療>

 

「環境薬物中毒」No.4

 

 

20代男性。3ヶ月前から鼻汁と咳とがあり、

 

「花粉症と喘息の薬をだしてください」とのことで来院。

 

1ヶ月前に、帰宅後に呼吸困難が出現したため、

 

夜間救急外来を受診したところ、気管支ぜんそく発作と診断され、

 

点滴と吸入を受けて返されたということでした。

 

 

また、鼻汁のため近所の耳鼻咽喉科を受診したところ

 

スギ花粉症と診断され通院していたが、

 

秋以降も症状が軽快せず、

 

「ブタクサの花粉症も合併しているのではないか」

 

とのことで検査予定であるとのことでした。

 

 

職業歴をお尋ねすると、

 

1年前から強化プラスチック製製品の製造会社で

 

ウレタンフォーム発砲作業に従事しているとのことでした。

 

 

鼻汁や咳が同時に出現した場合、

 

耳鼻咽喉科や呼吸器内科を受診することがあると思います。

 

ただ、その場合は、両方の診断と治療内容がうまくかみ合っていないと困ります。

 

アレルギー専門医の間では

 

「ワンエアウェイ・ワンディジーズ」(同じ気道上の一つの病気)

 

が合言葉になっています。

 

 

ただし、このことは、アレルギーを考えるうえで、とても大切な立場です。

 

 

鼻汁は鼻粘膜、咳は下気道粘膜の刺激症状と理解することができるからです。

 

 

もっとも、気道粘膜刺激症状の原因がすべてアレルギーかというとそうではありません。

 

 

いずれにせよ、粘膜刺激症状をもたらす物質を推理していくことが重要です。