(栄養)免疫・アレルギー疾患の臨床栄養学

先週号で「わかりやすい臨床栄養学」第5版に

 

新たな章立てとして21章免疫アレルギー疾患

 

の執筆を担当するお話をいたしました。

 

そこで、今回は、ダイジェスト版をまとめてみました。

 

 

 

<予備知識>

 

体内に外部からの物質が侵入すると、体は抗体というたんぱく質をつくります。

 

この場合の外来物質を抗原と呼びます。

 

このように抗原の体内侵入により体内で抗体ができる生体反応を

 

抗原抗体反応と呼びます。

 

 

生体反応である抗原抗体反応が心身に有利な作用である場合、

 

たとえば生体を守る特異的な反応の場合は、免疫反応といいます。

 

これに対して体に不利に作用する場合には心身の変調をもたらします。

 

これをアレルギー反応といいます。

 

 

 

<アレルギー反応のメカニズム>

 

そもそも外来物質である抗原は、どこから侵入してくるのでしょうか?

 

生体が外界と接しているのは皮膚と粘膜です。

 

粘膜は呼吸器などの気道、消化器の内腔の表面を覆い、外界と接しています。

 

抗原が侵入してくるのは皮膚と粘膜からです。

 

抗原は、一般に抗体の産生をもたらす他、細胞による免疫反応を起こさせるものです。

 

 

病原体(ウイルス、細菌など)やアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)などです。

 

 

アレルギーの発症は遺伝子(アレルギー体質、アトピー素因など)と

 

環境因子が複雑に関与して生じると考えられています。

 

 

アレルギー反応は、そのメカニズムから4型(もしくは5型)に分類されます。

 

 

 

<アレルゲンの種類>

 

アレルゲンには大きく分けて吸入性アレルゲン食物アレルゲンとがあります。

 

吸入性アレルゲンは、皮膚や気道粘膜から侵入する

 

ダニ、ハウスダスト、花粉、動物の皮膚などです。

 

 

食物アレルゲンは、消化管粘膜から侵入する、牛乳、卵、大豆などが代表的です。

 

 

 

<アレルギー疾患>

 

 

主なものは、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギーなど。

 

 

<アレルギー疾患の特徴>

 

アレルギー疾患の原因となるアレルゲンによる陽性率は、

 

小児では加齢とともに変化し、

 

また発症の原因となるアレルギー疾患が変化する傾向があり、

 

これをアレルギーマーチといいます。

 

 

吸入性アレルゲンでは、小児では、成長とともに陽性率が上昇し、

 

また新たなアレルゲンが加わる傾向があります。

 

 

食物アレルゲンでは、小児では、成長とともに陽性率が低下する傾向があります。

 

 

<アレルギー疾患のケア>

 

アレルゲンが何かを調べる(アレルゲンの同定)。

 

そして、除去可能なアレルゲンは除去します。

 

疲労や心理社会的ストレッサーに対する対策

 

(ストレッサー軽減するための養生、ストレス耐性を増す鍛錬)を講じます。

 

 

気管支喘息では、アレルゲンの除去を基本とした環境のコントロールと、

 

喫煙者では禁煙を勧めることが不可欠です。

 

 

アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリアー機能が低下しているので、

 

皮膚の清潔保持の励行、皮膚保湿の徹底を図ります。

 

 

次回は、「食物アレルギー」をテーマとします。