神経・アレルギー・膠原病内科Vol.5

今月のテーマ<脳卒中>

 

【今週のまとめ】脳卒中の予防法は?

 

 

予防という言葉は、広い意味があります。

 

そもそもその病気にならないようにする(一次予防)

 

病気をできるだけ早期に発見して早期に対応する(二次予防)

 

すでにその病気に罹ってしまったあと再発を防止する(三次予防)

 

これらのうち、第二次予防は住民健診や職場健診、

 

あるいは人間ドックの活用が有用でしょう。

 

 

 

これに対して第一次予防と第三次予防の内容には共通点が多いです。

 

・禁煙、節酒などの生活習慣の改善

 

 

・高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム

 

などの生活習慣病の管理

 

 

 

特に第三次予防としては、

 

・一般に、血圧の管理目標を140/90㎜Hg未満とする。

 

 

・脳出血、くも膜下出血、ラクナ梗塞で抗血栓薬(血栓ができるのを予防する薬)

 

を服用中の方は、さらに血圧の管理目標を130/80㎜Hg未満を目指します。

 

 

・糖尿病の方は、血糖コントロールのみではなく、

 

血圧管理、血液中の脂質の管理が重要です。

 

 

・脂質異常症の方、とくに総コレステロールやLDLコレステロールが高い方は

 

血中脂質コントロール薬(スタチン)が有用です。

 

 

スタチンは血清脂質の改善作用のみではなく、

 

抗酸化作用、抗炎症作用、血管内皮機能改善作用などがあります。

 

 

こうした作用は総合的に働いて動脈硬化巣を直接小さくし、

 

悪化して血栓がちぎれて脳の血管を詰まらせないように働きます。

 

 

 

また、脳卒中のうちでも脳梗塞の再発予防については、より細かな配慮が必要です。

 

 

・「心原性脳塞栓症」か「非心原性脳梗塞」かといった

 

臨床病型に応じた抗血栓療法が役立ちます。

 

 

「心原性脳塞栓症」

 

弁膜症を伴わない心房細動が原因となるタイプ:

 

血液の凝固を防ぐ治療が推奨されます。

 

虚血性脳卒中や全身性塞栓症の予防のための治療もおこなわれます。

 

 

 

「非心原性脳梗塞」

 

血小板の働きを抑える治療が推奨されています。