(栄養)栄養管理のための知恵

誰もが知っているのに、役に立っていない代表的標語を2つほどご紹介いたしましょう。

 

その1.「適切な栄養の摂取は健康の維持に重要である」

 

 その2.「予防に勝る治療なし」

 

 

こうした知識がなかなか役に立っていない理由をいろいろ考えてみました。

 

 

その結果、知識が知恵のレベルにまで高められていないからではないか、と考えました。

 

 

少し説明いたしましょう。

 

 

知恵を得るためには、

 

①情報を事実として受け入れる(認識する)、

 

②物事の本質を深く悟る(理解する)、

 

③その知識を適切に処理する能力(活用する)、

 

が必要です。

 

 

 

例1

 

①認識する:栄養不良患者は、細胞性免疫や液性免疫、

 

白血球・マクロファージ機能などの免疫機能全般に異常が生じます。

 

 

②理解する:その結果、感染症にかかりやすくなります。

 

 

③活用する:???

 

 

 

例2:

①認識する:栄養不良は外科手術後の傷の治りが悪く、

 

入院中の合併症も起こりやすいです。

 

 

②理解する:その結果、入院期間が延び、死亡率が増えます。

 

 

③活用する:???

 

 

以上のことから、患者の栄養状態を適切に評価して十分な栄養管理を行うことは、

 

とても大切であることを理解することはできるでしょう。

 

 

しかし、この知識をどのように活用したらよいのかがわからなければ、

 

所詮、単なる知識に過ぎません。

 

 

知恵には遥か遠く届きません。

 

 

 

知恵に至るためには、自分なりの問題意識をもつこと、

 

新たな問題点を抽出することで知識を役立てることにつながります。

 

 

これが知識を③活用するための第一歩です。

 

 

たとえば、「栄養状態はどうやって判断されるのでしょうか?」

 

といった質問がでてくるようであれば

 

あなたは十分な知恵者です。

 

 

それでは、端的にお答えいたしましょう。

 

 

「栄養状態は病歴・身体所見・血液生化学検査・免疫能などで

 

総合的に判断します。」

 

 

しかし、外来診療で栄養状態を

 

きちんと評価しようとしている医療機関はとても少ないのが現状です。

 

 

その理由の一つは、

 

患者の皆様がお持ちになっている『健康保険証』は、

 

実際には『疾病保険症』に過ぎないからです。

 

 

『健康保険証』は健康人の健康チェックの目的のためには使えません。

 

 

それでは病気になって初めて使える保険証だからです。

 

 

 

「予防に勝る治療なし」これも誰もが知っている常識です

 

しかし、ほとんどの医療機関では

 

この知識を知恵にまで高めることができないのが現実です。

 

 

 

医療行政にも医療機関にも決定的に不足しがちなのが、

 

知恵なのではないでしょうか。

 

 

解りやすく言い換えれば、

 

(フロンティア、ボランティア、チャレンジ)精神、

 

それから工夫と忍耐の欠如です。

 

 

そこで、高円寺南診療所では患者の皆様に

 

フィットネス検査(体組成・体力検査)を実施しています。

 

1年に4回、春・夏・秋・冬、季節の変化の節目ごと、

 

おおよそ3か月に1回をめどに

 

チェックを受けていただくことをお勧めしています。

 

 

 

栄養評価や体力評価なくして予防対策は取れないからです。

 

 

 

最も簡単な栄養評価方法は体重の変化です。

 

来週、そのお話をいたしましょう。

 

 

乞うご期待!