頭痛診療No3. 片頭痛治療(月経関連・妊娠・授乳期での注意)

高円寺南診療所の受診者には働く女性の割合が大きいです。

 

しばしば、相談を受けるのは頭痛、それもしつこい片頭痛です。

 

 

約半数の方の片頭痛発作が月経周期に関連して起こることを自覚されています。

 

とくに月経数日前から月経中にかけて起こることが多いです。

 

しかも、その場合は、持続時間が長く、重症例が多いです。

 

過去の発作で通常の鎮痛剤が効かない場合には、トリプタン製剤を勧めています。

 

ただし、月経に関連してのみ起こる場合には、短期間の投与が望ましいです。

 

 

 

さらに、最近、低用量ピル(OC)を使用している方が増えています。

 

ホルモン避妊法には、エストロゲンとプロゲストーゲン配合剤である結合型低用量経口避妊薬(OC,低用量ピル)があり、これが広く使われています。

 

 

 

 

そこで、まず、注意点をあげてみましょう。

 

1) OC使用中に最も多く認められる副作用の一つが頭痛です。

 

これは「外因性ホルモンによる頭痛」や「エストロゲン離脱頭痛」と診断されます。

 

 

2)片頭痛では前兆の有無が重要です。

 

前兆のある片頭痛では、エストロゲンを含有する経口避妊薬(ピル)は原則禁忌です。

 

前兆のない片頭痛では、禁忌ではありません。

 

しかし、投与にあたり慎重な経過観察が必要です。

 

 

3)片頭痛患者にOCを投与すると脳梗塞の発症リスクは7倍以上、喫煙者では10倍にも達します。

 

 

 

 

それでは、妊娠・授乳期の女性にはどのような対策があるでしょうか。

 

1)喫煙者はなるべく早期に禁煙に努めましょう。

 

2)多くの片頭痛患者は妊娠中での発作の頻度は減少します。

 

それでも生じる妊娠中の片頭痛急性期治療の第一選択薬はアセトアミノフェンです。

 

 

これで効果がみられなかった場合にトリプタンなどを選択します。

 

 

とくにスマトリプタン(イミグランⓇ)皮下注射は、妊娠中に禁忌ではありません。

 

嘔吐を伴う患者にはよい適応となるので、ひどい妊娠悪阻(つわり)を伴う方に使用するのは理に適っています。

 

ただし、スマトリプタン経口薬投与後に皮下注射する場合は2時間以上あけます。

 

 

3)授乳期のトリプタンの安全性に関するデータは乏しく、確立したデータはありません。

 

ただし、スマトリプタンに関しては、内服後8時間以内に体内より消失するため、

 

少なくとも内服後24時間たてば授乳は問題ではないと考えられています。