医学会ダイジェスト リウマチ学会(第3日目)線維筋痛症

線維筋痛症 松本美富士(桑名市総合医療C リウマチ膠原病内科)

 

 

はじめに:

 

最初に、結論を申し上げます。

 

線維筋痛症は、心身医学的アプローチがベストです。

 

 

 

できればリウマチ疾患に詳しく、漢方や鍼灸などの東洋医学も駆使できる医療機関が最有力候補だと思います。

 

 

 

線維筋痛症患者は、原因不明のリウマチ性疾患とされてきました。

(最近、病気のメカニズムが少しずつ明らかになってきました)

 

 

身体の広範な部位の慢性的な痛みとこわばりが主症状です。

 

その他、多彩な身体、精神・神経症状を伴います。

 

 

 

そもそもリウマチ性疾患は概念が複雑なため、その説明は一筋縄にはいきません。

 

 

その代表である関節リウマチ自体は自己免疫疾患であるにもかかわらず、

 

代謝性疾患である痛風、原因不明の疾患である線維筋痛症までリウマチ性疾患に括られてしまうのですから。

 

 

 

診察所見では圧痛点のみで、一般検査所見でも異常がありません。

 

 

 

高円寺南診療所を受診される線維筋痛症の方で、とくに気の毒なのは、

様々な検査を受けて、様々な医療機関を渡り歩き、

 

 

それでも症状に見合うだけの異常が見つからないため、

家族からも医療機関からも仮病扱いを受けて苦しんでいる方たちです。

 

 

精神科を受診するように担当医からすすめられても、ご本人は精神病だとは思っていないし、そう思いたくないので苦しみます。

 

 

原因不明の痛みは体の症状であると同時に、心の症状ですから、一般内科や整形外科では扱いにくいし、精神科でも対応に苦渋しています。

 

 

心療内科を標榜する医療機関の99%は精神科医であり、心療内科専門医は1%にも満たないのが現状です。

 

 

一般の方のみならず医療従事者さえ心療内科が正しく理解できていないのは当然の結果ですらあります。

 

 

そこで、高円寺南診療所は、心療内科のモデル医療機関を目指すことに社会的使命の一つにしているのです。

 

水氣道や聖楽は、心身医学と一般社会の健全な活動との接点であるということをアピールしていきたいと考えています。

 

 

 

講演サマリー:

 

<総論>

 

線維筋痛症患者は国内での人口比1.7~2.1%と推定される。

 

線維筋痛症は疼痛伝達経路のネットワーク障害であり、脳内神経炎症による中枢感作症候群の一つである。

 

 

 

<各論>

 

  • 線維筋痛症は疼痛(視床)、うつ症状(海馬)、認知症状(偏桃体)を伴う。

 

  • 線維筋痛症の一部に抗電位依存性カリウムチャンネル複合体抗体(抗VGKC抗体)の自己抗体が検出され慢性疼痛との密接な関連が示される。

 

  • 線維筋痛症の疼痛には神経生理学的検査でoff-set現象が消失している。