医学会ダイジェスト 日本内科学会(第2日目)その2

「腸内細菌と疾患」その2・・・私たちは腸内細菌に寄生して生きている❓

 

 

 

腸内細菌は古くて新しいテーマです。常識的な発想では、

私たちが自分たちの腸管に腸内細菌を寄生させている、と考えがちです。

 

ところが、私たちの体を構成する細胞数が60~100兆個(1.0× )であるのに対して、

腸内細菌数は1000兆個(1.0× )以上でざっと10ないし100倍です。

 

腸内細菌叢の菌種は数100種類に及び、私たちが持っている遺伝子の数は2万3000に対して

腸内細菌全体が有する遺伝子の数は2,000万です。

 

私たち自身の1000倍もの腸内細菌の遺伝子に依存することになるので、腸内細菌叢は宿主であるヒトと超生命体を形成しているということになります。

腸内細菌は人類の健康を保持するための司令塔であり、100万個以上の遺伝情報を

ヒトへ提供する「腸内フローラ」は新臓器とまでいわれるようになっています。

 

前回、腸管内腔は腸内細菌を中心として腸管内代謝産物と腸管細胞で構成される

体外の代謝臓器であると考えられるようになったことを紹介しました。

このことを踏まえると、腸内細菌は膨大な遺伝情報をヒトへ提供する「腸内フローラ」として

体外の新臓器であるということができます。

体外であるということは、とりもなおさず環境の一部であるということですから、

腸内細菌は私たちにとってもっとも密接な環境であるともいえます。

 

私たちの健康は、「腸内フローラ」の環境いかんによって大きく影響を受けるので、

「腸内フローラ」を整えることが、わたしたちの健康管理のうえでどれだけ大切なのかは理解できると思います。